夜な夜な黒魔術屋

感想・エッセイ・小説

小説

『帰郷』

故郷の梨湘(りそう)国に十年ぶりに一時帰国したのは、お母さんと自分の帰化手続きを済ませるためだった。故郷を離れるために帰郷するという奇妙な体験を、生まれて初めてするのだった。役所の窓口で国籍離脱の書類を提出してから証明書を受け取るまで、た…

『怨念石』

私が地質学のフィールド調査でベトナム南部にあるダクノン省のとある村を訪れたのは、ちょうど怨念石と呼ばれる石を崇め奉る毎年恒例の儀式が行われようとしている頃だった。言い伝えによると、あれはベトナム戦争中にアメリカ兵に殺された妊婦の血に染まっ…